言の葉大賞とは

ITが進化を遂げ生活の中に溶け込んでいる今日、私たちはその恩恵に浴し、その効用を十二分に謳歌しています。また、その利便性ゆえに経済・社会も大きく変化し、私たちの未来は、ITなしでは考えられない世界が広がっています。
しかし、どれほどデジタル技術を駆使しても、それを何に応用するかを考えるのは、私たち人間です。
私はいつも、人間の持つ創造力のたくましさ、根気、そしてそれをやりとげる忍耐力に敬意をはらっています。
そして、それら先人たちによってなされて来た創造の多くは、手を動かすという行為によってこそ、果たされて来たのだと考えています。
人間はたった一人でいろいろな発明をしたり、考えて来たのではありません。
人と人とのコミュニケーションと信頼があってこそ、先人たちの偉大な業績は生まれたのだと思います。
手でものを書く。意思を伝達する。コミュニケートする。そうすることによってアイデアが生まれ、成長していき、発明や発見が長い時間をかけて生まれて来たと考えています。人間の想像力、人間のもつ無限の力、私たちのそういった行為の根本に、手書きという概念がそなわっていると思っています。

2010年から始まった「KYOTO KAKIMOTO 恋文大賞®」は、800字という制限された文字数の中に凝縮された原風景や心象風景といったものが、一通の手紙の中にこめられ、毎年全国各地から沢山の心の手紙が届けられて来ました。
そうした手書き文字から伝わってくるのは、その人たちの人間性です。読み返すことで何度も心を打たれる文章にふれるたびに、書いた人の気持ちが伝わってくるのを感じます。
まさに、手紙を書くことが少なくなった時代こそ、文章が後世に残す役割を考え直す時期ではないでしょうか。

文字・活字文化の推奨、教育、コミュニケーション能力並びに創造力の向上という4本の軸を基に始まった恋文大賞も、年数を重ねるごとに応募者も増え、一般応募だけではなく、2011年(第2回)からは、学生部門も設けられました。以降、毎年6割近くが学生からの応募という現状に、各教育機関においても、手を動かして文字を書くことの大切さを感じて頂いているように思えます。こうして、当初私たちが考えていた以上に、広く多くの人々に意義のある事業であると認識して頂くようになり、さらにいっそう、手書き文化の重要性を感じて頂く事が私たちの使命だと考えています。
その意義を理解して頂くためにも、各学校応募に関しては、「恋文大賞®」とは区別し、その発展的な形として一般社団法人 言の葉協会を設立し、「言の葉大賞®」とする運びとなりました。

今こそ、未来へはばたく若者たちに、言語の重要性を認識してもらい、思考力や判断力、そして人と人とのコミュニケーション能力を養ってもらうことによって、立派な社会人として未来に貢献してもらうことが、教育の根本だと考えています。

一般社団法人 言の葉協会
代表理事 佐藤典司